オペラ勧進 「歌と芸術よもやま話」
2015年 08月 22日
オペラ勧進 No.85 2015年8月21日(金)
今月の一言 舞台で輝くために
讀賣新聞「時代の証言者/役者の条件・仲代達也」の連載を楽しみに拝見していました。
実は、二十歳のころ、一度だけ、仲代さんの奥様の宮崎恭子さんにお会いしたことがあります。記憶が定かではないのですが、ギリシャ悲劇「オイディプス王」に出演しておられたと思います。舞台の宮崎さんのあまりの美しさに、私はすっかり魅了されてしまいました。40年以上も前のことです。今にして思えば、その会場は公民館のようなところで、パイプ椅子が並び、照明も王と王妃をスポットライトで浮かび上がらせたような簡素なものでした。
終演後、宮崎さんとお話しする機会がありました。私に「ありがとう」と言ってくださった宮崎さんは、あの妖艶な王妃ではなく、テレビで見かけるごく普通の宮崎さんでした。
オペラの本番で、時々“なぜ”、と思うことがあります。稽古の時に実に達者な演技で、これなら、と大きな期待を寄せて幕を開けます。ところが、それが舞台で輝かないのです。オペラですから、もちろん歌唱力がものを言います。ですが、歌唱力だけに頼ると、独りよがりの冷たい舞台になってしまいます。
中学1年のころ、目の前でリハーサルをしていた先輩の踊りが素晴らしく、胸をときめかせて学芸会を待ちました。しかし、その先輩は舞台で輝くことはありませんでした。“なぜ”、先輩の白い衣裳とともに今もその時のことを時々思い出します。
特定非営利活動法人オペラ彩理事長 和田タカ子
今月の一言 舞台で輝くために
讀賣新聞「時代の証言者/役者の条件・仲代達也」の連載を楽しみに拝見していました。
実は、二十歳のころ、一度だけ、仲代さんの奥様の宮崎恭子さんにお会いしたことがあります。記憶が定かではないのですが、ギリシャ悲劇「オイディプス王」に出演しておられたと思います。舞台の宮崎さんのあまりの美しさに、私はすっかり魅了されてしまいました。40年以上も前のことです。今にして思えば、その会場は公民館のようなところで、パイプ椅子が並び、照明も王と王妃をスポットライトで浮かび上がらせたような簡素なものでした。
終演後、宮崎さんとお話しする機会がありました。私に「ありがとう」と言ってくださった宮崎さんは、あの妖艶な王妃ではなく、テレビで見かけるごく普通の宮崎さんでした。
オペラの本番で、時々“なぜ”、と思うことがあります。稽古の時に実に達者な演技で、これなら、と大きな期待を寄せて幕を開けます。ところが、それが舞台で輝かないのです。オペラですから、もちろん歌唱力がものを言います。ですが、歌唱力だけに頼ると、独りよがりの冷たい舞台になってしまいます。
中学1年のころ、目の前でリハーサルをしていた先輩の踊りが素晴らしく、胸をときめかせて学芸会を待ちました。しかし、その先輩は舞台で輝くことはありませんでした。“なぜ”、先輩の白い衣裳とともに今もその時のことを時々思い出します。
特定非営利活動法人オペラ彩理事長 和田タカ子
by operasai | 2015-08-22 08:53 | オペラ勧進