オペラ勧進「歌と芸術よもやま話」
2016年 05月 21日
オペラ勧進 No.94 2016年5月20日(金)
今月の一言 パリを訪ねて
パリを出た途端、広大な菜の花と麦の畑に出合います。人っ子一人いない黄と緑の世界。「フランスは農業国」との思いを強くしました。あちらこちらに竹トンボを大きくしたような巨大な鉄塔が立っています。岡本太郎を思わせる赤と白のコントラストが実に美しい。
急に、「ここはもうパリではない」という思いがこみ上げてきました。車でまだほんの少し走っただけなのに、ここにはパリの華やぎも喧噪もない。離れて集落が点在するまったくの別世界。「椿姫」の第2幕、ヴィオレッタとアルフレードがパリを離れて二人だけの生活を始めます。あのシーンはこういうことだったのか…。息子の身を案じた父親ジェルモンがプロヴァンスから馬車に揺られてやってくる、その蹄の音が聞こえてくるような錯覚にとらわれます。
「ラ・ボエーム」の主人公・ミミは、これまで出会った人たちとは違う、貧しくも自由を謳歌するパリの若き芸術家たちの姿に一時の夢を見たのではないでしょうか。ファンタン=ラトゥールが描いた、マネを中心に集う若き芸術家達の肖像「バティニョール地区のアトリエ」。訪ねてきたミミの扉をたたく音が聞こえるような気がします。私の中に次回公演、「ラ・ボエーム」の世界が広がっていきました。
特定非営利活動法人オペラ彩理事長 和田タカ子
今月の一言 パリを訪ねて
パリを出た途端、広大な菜の花と麦の畑に出合います。人っ子一人いない黄と緑の世界。「フランスは農業国」との思いを強くしました。あちらこちらに竹トンボを大きくしたような巨大な鉄塔が立っています。岡本太郎を思わせる赤と白のコントラストが実に美しい。
急に、「ここはもうパリではない」という思いがこみ上げてきました。車でまだほんの少し走っただけなのに、ここにはパリの華やぎも喧噪もない。離れて集落が点在するまったくの別世界。「椿姫」の第2幕、ヴィオレッタとアルフレードがパリを離れて二人だけの生活を始めます。あのシーンはこういうことだったのか…。息子の身を案じた父親ジェルモンがプロヴァンスから馬車に揺られてやってくる、その蹄の音が聞こえてくるような錯覚にとらわれます。
「ラ・ボエーム」の主人公・ミミは、これまで出会った人たちとは違う、貧しくも自由を謳歌するパリの若き芸術家たちの姿に一時の夢を見たのではないでしょうか。ファンタン=ラトゥールが描いた、マネを中心に集う若き芸術家達の肖像「バティニョール地区のアトリエ」。訪ねてきたミミの扉をたたく音が聞こえるような気がします。私の中に次回公演、「ラ・ボエーム」の世界が広がっていきました。
特定非営利活動法人オペラ彩理事長 和田タカ子
by operasai | 2016-05-21 00:45 | オペラ勧進