オペラ勧進「歌と芸術よもやま話」
2022年 03月 20日
オペラ勧進 No.165 2022年4月15日(金)
今月の一言 ある日のドキュメンタリーから 佐々木朗希投手の完全試合
特定非営利活動法人オペラ彩 和田タカ子
今や時代の寵児となった佐々木投手の高校時代の逸話が胸を打ちます。前日の準決勝戦で128球を投げたことから、甲子園出場をかけた試合に監督は彼を登板させなかった。結果は敗戦、球児の夢はかなわなかった。その後の騒動は想像に難くない。
20年ほど前のこと、仲間が本番を前にして声が出なくなるというアクシデントに見舞われた。意気消沈する彼女に、私は「本番で歌えればいい。稽古を積んできたのだから大丈夫。どんなことをしても貴女を守るから」と伝え、他の出演者にも協力を求めて、ことなきを得た。彼女は「今度は自分が守る」と言ってくれた。しかし、後に私は現実の厳しさをいやというほど知ることになる。本番一週間前にインフルエンザにかかり、医師から「ゲネプロまで声を出さないように」と厳命された私は、四面楚歌の中、それを守るしかなかった。
オペラの終幕、全てから解放されて歌ったアリアを私は忘れることができない。そして、その日が、舞台に立つ人達を守り、支えることを誓った、オペラ制作者としての私の決意の日となった。
by operasai | 2022-03-20 01:13 | オペラ勧進 | Comments(0)